HDデータ修復の最後の手段・磁気力顕微鏡

一般的に磁気力顕微鏡を使用してもHDデータ解読が不可能といわれますが、

さて、この磁気力顕微鏡とは一体なんでしょうか?

実はこれ、ハイグレードなHDデータ消去のひとつとしてHDデータ消去サービスに使われるものなのです。

磁気メディアから残留磁気を読み取る手段にはいろいろあって、この磁気力顕微鏡もそのうちのひとつなのです。

そしてこれは最も感度が高く、かつ実用的なものです。

磁気力顕微鏡とは MFM : magnetic force microscope)の意味であり、

ナノテクノロジーの分野では有名な「走査型プローブ顕微鏡」のバリエーションのひとつです。

この走査型プローブ顕微鏡の探針に磁性膜をコーティングして、微小な磁力の変化をとらえ、電気信号に変換するしくみとなります。

つまり、この走査型プローブ顕微鏡は、残留磁気を読み取るだけのものということです。

当然、ここで読み取ったイメージを解析してデータを復旧するソフトウェアが必要となるわけですが、

この読み取り機能とデータ復旧機能が揃って初めてデータ復旧システムとして成り立つわけです。

磁気力顕微鏡の威力

さあ、それでは磁気力顕微鏡にはどれほどの威力があるのでしょうか?

これが何と数回の上書きで抹消されたくらいのHDデータは、難なく読み取れるのです。

そういうことですから通常私達が使っているHDの利用の仕方では、残留磁気の読み取りを不可能にするのは難しいわけです。

セキュリティー上、残量磁気を読み取り不可能にするには、データを完全に抹消してなんと35回の上書きをする必要があるのです。

これはグートマン方式の抹消アルゴリズムといいます。

しかし、これほどの高機能を持つ機器ですが、一般のデータ修復業者は使っていないようです。

なぜならば通常のデータ修復業者が公表しているサービスでは、数回の上書きで、たちまちサービス対象外になってしまうからですね。

HDデータ復元の費用

それでは仮に、いずれかのHDデータ修復業者が磁気力顕微鏡を駆使したHDデータ修復業務を請け負っているとしましょう。

さてそれではその費用はどのくらいになるのでしょうか?

実は磁気力顕微鏡を使った復元そのものが、ライバル業者のそのサービスメニューにも載っていないのですね。

最も高額なHDデータ修復サービスは、水没したり焼けたりしたハードディスクを、クリーンルームの中で分解・再構築するものであり、この場合には、数十万円となります。

そうなると、最も強力な磁気力顕微鏡を使ったHDデータ修復は百万円台となる可能性は充分にあります。

これだけ高額になると実際に利用する対象は自ずと限られてきますね。

例えばそれは何としてでも修復したい価値のあるデータか、あるいはお金に糸目を付けない大金持ちの個人あるいは法人や国家などに限定されるでしょうね。



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